『会場の場づくり』について=諒
みなさま、お疲れ様です。
カウンセラー鑑定士の諒です。
早いもので、もう8月も半ばを過ぎても、暑さがさらに増してきた気がする今日このごろですが、いかがお過ごしでしょうか。
『会場の場づくり』について
これは、とある企業で起こった不祥事発覚のお話です。
とある食品会社において賞味期限を記したラベルを不正に張り替えていることが内部告発により暴露され、マスコミが飛びつきました。連日、批判の報道が繰り返され、はじめは従業員が独断で行っていたこととしていた経営陣も、ついに自らの関与を認め、経営トップが謝罪会見を行うことになりました。
同族経営であり、株も公開していないため、経営陣は辞職せずに出直しをする腹を固めました。しかし、従業員側が急遽、組合を結成し、出直しのための改革に従業員再度の意見も取り入れるよう求めました。この動きもマスコミに察知され公にされたために、経営サイドは無視するわけにはいかなくなり、従業員代表を含めて「経営改革会議」が開かれることになりました。
経営者の長男で、専務を務めるM氏が、仲のいい広告プランナーに相談を持ちかけました。
「従業員だけなら、まだいいんですよ。ところが、問題がおおきくなっちゃって、有識者やマスコミ関係者が数名オブザーバーとして参加することになってしまったんです。こうなると、会議がどういう方向に向かうかまったく見当がつかず、非常に怖い。なんとか会議をコントロールする方法はないものでしょうか」
M氏がそう困り切った表情で言うと、広告プランナーは、しばし考え込むと…
「ないこともないですね。結論を出来レースにすることはできないですが、形式ばった意見しか出てきにくくなる、盛り上がらない会議にすることはできます」
と言いました。
「本当ですか!」
「ええ、われわれ、プランナーも時に使う手があります」
そして、プランナーはいくつかのアドバイスをM氏に伝えました。M氏はそのアドバイスに従い、会議をセッティングしたところ、従業員サイドの要求はだいたい想定の範囲内のものであり、オブザーバーからも特に意外な意見は出てきませんでした。そして、結論は誰もが思いつくありふれた落としどころに落ち着き、会議は波乱なく終了しました。
プランナーはM氏に一体、どんなアドバイスをしたのでしょうか。
なんと、会議を行う場所を自社の会議室などではなく、老舗ホテルの豪華な会議室にすることとアドバイスしました。そして、部屋の中央に真っ白いテーブルクロスのかかったテーブルを置き、椅子は体が沈み込むようなソファにして、さらに、席順は役職順に指定しておき、着席するのも下の者からという流れにするとのことです。また、議事進行係を設け、会議の進行はすべて進行係が執り行うようにするとしました。要するに、国際会議のような重厚な雰囲気の会議にするというのです。
なぜ、こんな堅苦しい雰囲気の会議にするのでしょうか。
それは、人が場の雰囲気におおいに影響されるからです。たとえば、三ツ星高級フランス料理店と全国チェーンの居酒屋では、立ち振る舞いも違うでしょうし、会話の内容も変わってくるでしょう。その場の雰囲気に行動や思考が枠をはめられ、それに合ったものになっていくからです。
堅苦しい雰囲気の会議では、意見が自由に飛び交い、本音でものを言い合える状況にはなりにくいでしょう。発想も形式張った、常識的なところに落ち着きがちです。会議は終始言葉数少なく進行し、最後に採択される結論もありふれたものになるでしょう。
それに、会議会場を豪華な雰囲気にすることで、来場者達に対し「お金をかけて我々を迎えているので、十分、反省をしているようだ」と感じさせる心理的効果もあります。
その効果も相乗され、会議において悪いように言いにくくなるというわけです。
「われわれは会議の雰囲気を使い分けているんですよ」
とプランナーは言います。
「クライアントからあまり注文をつけられたくないようなときは、なるべく重厚な雰囲気の会議にして意見を出にくくする。相手の思考を誘導するわけですね」
「では、その逆の雰囲気を作ることもありますか?」
「ええ、アイデアを出したり、クライアントといい関係を作りたいときなどは、明るい部屋で、丸いテーブルを置き、役職に関係なく座ります。飲み物も、自動販売機でジュースやコーヒーなどを買って、ざっくばらんな雰囲気を演出するのです。そうすると、お互いに自由にものを言うことができますよ」
そう言って、プランナーはニヤリと笑いました。
場の雰囲気に人は影響を受けやすいという性質を利用したものです。
ただ、今回の事例において、念には念を入れる場合、発言権のある人物に無難な結論に話が向くように根回しを入れておくと、さらにいいでしょう。
さて、いかがでしたでしょうか。
それでは、ぴかれすくでお待ちしております。
