『二面提示の順序』について=諒
みなさま、お疲れ様です。
カウンセラー鑑定士の諒です。
5月も早いもので、終わりに近づき雨模様もだんだん多くなってくる梅雨の足音が聞こえてきている今日このごろですが、いかがおすごしでしょうか。
さて、今日も日常で役立ちそうな心理効果・行動をご紹介していきます。
『二面提示の順序』について
とある不動産会社の営業マン木更津氏(仮名)は、5年連続トップセールスを続けるカリスマセールスマンです。しかし、そんなカリスマセールスマンも5年前までは、まったく売れない「お荷物セールスマン」であったといいます。
そんなダメ営業マンだった木更津氏が、どうしてトップセールスマンに変身することができたのでしょうか?
「売れない営業マン時代には、仕事の同僚などによく『もっとずる賢く売れ』と言われていました。ぼくは、商品のプラス面もマイナス面も正直に伝えて、お客さんに納得してもらったうえで買ってほしいと考えていたんですね。しかし、営業マンの中には、わざとマイナス情報を伏せてプラス情報だけを流して契約を取る人がたくさんいました。たしかにその方法だと契約はとりやすいんですが、後々トラブルになることもありますし、第一、お客さんをだましているようでイヤだったんです」
それでは、自分の信条を曲げてマイナス情報を隠すようになったのでしょうか?
「いえ、いまでもプラス、マイナス含めてきちんとお伝えしていますよ。でも、あるとき気づいたんです。同じことを伝えるのでも、伝え方によってお客さんの印象はまったく違ったものになることに…」
木更津氏が気づいたのは、プラス情報とマイナス情報を伝える順序です。
たとえば、次の例があります。
A「ここは立地抜群ですよ。すぐそばに緑がありますし、すごく静かな環境で、お子さんを育てるのにはもってこいのところです。ただ、駅からバスに20分乗ってバス停から15分ほど歩かなければならないというのがネックなんです」
B「ここは駅からバスで20分、徒歩15分という不便さはありますが、でも見てください!緑はたくさんありますし、すごく静かです。こういうところでお子さんを育ててみたいと思いませんか?」
どちらのほうが、この物件にいいイメージを抱くでしょうか。おそらく大半の人は、Bと答えるに違いありません。どちらも伝えている情報は同じです。それなのに、Aの説明にはあまり心を動かされず、Bの説明にいいイメージを抱くのは、プラス情報とマイナス情報の順序が違うからです。
Aでは、最初にプラス情報を伝え、次にマイナス情報を提示しています。それに対してBは、初めにマイナス情報を開示してから、プラス情報を示しています。このことからもわかるように、初めにプラス情報を示して、あとからマイナス情報を示すとマイナスがプラスを打ち消してしまいます。その逆に、最初にマイナス情報を出してから、次にプラス情報を示すとプラスがマイナスを補って余りあるという印象を与えます。
「プラスとマイナスのどちらを先に伝えるか、という違いなんですが、たったこれだけのことで印象はまったく変わってくるのです。以前は、売りたい気持ちが先走って、まずプラス面をまくしたてて、お客さんが興味を示したところで、マイナス面を告白して、関心に水をかけるようなことをしていました。しかし、プラスとマイナスの順序を入れ替えるようになってからは、うまく商談に結びつけることができるようになりましたね」
プラス情報とマイナス情報の開示の順序に気をつけることで相手に与える印象はガラリと変わってしまうということです。
ただ、仮に順序に気を付けて伝えたとしても、契約成立の確率が上がるだけで、必ず契約成立につながるのかというと購入金額など他の条件で成立につながらないこともあります。そのことは肝に命じておいてください。
さて、いかがでしたでしょうか。
それでは、ぴかれすくでお待ちしております。